肥料について

 有機質肥料にもさまざまなものがあります。有機質肥料は土中に投入されてから微生物が分解し、それから作物が吸収するというタイムラグがあります。化成肥料は無機質のため、即効性があるのですが、有機質肥料はのんびり効き、即効性はあまり期待できません。有機農業の肥料と言えば堆肥ですが、これはどちらかと言うと肥料分というより土壌改良材という意味合いが強いものが多く、肥料としてはボカシ肥料があります。その他、すでにペレット状になっている有機質肥料もあります。それぞれに優位性があり、デメリットもあるため、性質を見極めて肥料を選択する必要があります。


キチン・キトサン カニ殻資材の写真

どんな肥料を選ぶべきか


 

・堆肥

 地域によっては畜産農家から堆肥を安価で購入することができますから、堆肥は便利で経済的な肥料と言えます。また、自家製堆肥を作ることもあるでしょう。いずれにしても、どのような肥料成分が含まれているか、成分分析を行うことをおすすめします。畜産堆肥の場合は、畜産農家がすでに成分分析をしていることが多いようです。牛糞などは肥効がそれほど含まれていませんが、鶏糞堆肥は肥料分が高いなど、畜糞によっていろいろな性質があります。

 それぞれの畜糞に多く含まれる成分があり、続けて投入しているとある成分が突出して過剰になることが多いもの。したがって、成分がわかっていると、土壌バランスを考えながら施肥することが可能になります。堆肥に含まれている成分の数値がわからないまま投入すると、濃度障害を起こしたり、不必要な成分が多く入る可能性もあるのです。せっかく土壌分析を行い適正数値を出しても、成分量のわからない堆肥を投入しては分析の意味がありません。できるだけ成分のわかっている堆肥を入れるのがいいでしょう。

 

・ボカシ肥料を利用する場合

 ボカシ肥料とは、肥効成分の高いもの、米ぬかや魚粉・骨粉や油かすなどを発酵させて作る肥料です。タンパク質が分解され、アミノ酸という形になっていることが多いため、施肥すると植物が吸収しやすいというメリットがあります。また、堆肥のように硝酸態窒素で吸収することがないため、病害虫被害が少なくなる、食味がよくなるなどのメリットがあります。少量で効果が上がるので、鯛人併用するのがおすすめです。自分で作る際には腐らないよう注意が必要です。


・微量要素についての考え方

 野菜を栽培するのに必要なのは、チッソや炭素などの9つの多量要素と、鉄や亜鉛などの7つの微量要素と呼ばれる成分があります。有機農業の畑には特定の要素が欠乏することがあるため、これらの不足を補う微量要素資材なども販売されています。

 基本的な考え方としては、土づくりをきちんと行い、物理性や生物性の改善と、土壌分析診断を行い必要量の施肥設計をしていれば、微量要素についてあまり気にする必要はそれほどないのではないかと思います。微量要素資材は高額なので、経済的にもデメリットがあります。ヒトで例えると、毎回の食事をバランスよく採っていればサプリメントが必要ないように、まず土づくりを行い、土壌バランスを整えたうえで、微量要素の欠乏症がひどい場合に補うなどの対応をしたほうがいいでしょう。まずは良い土をつくることを考えましょう。