トップページ | 有機農業の基本と技術 | 土づくりは有機農業の基本 〜土の化学性〜
土の化学性は、土壌分析をすることで知ることができます。自分の畑の土壌バランスを知るための指針が土壌分析数値です。この数値を基に、作物が最もよく生育する肥料バランスを考えます。
土壌分析は、農業普及所や肥料メーカーなどに依頼して分析することができます。自分で簡易分析もできなくはないのですが、簡易分析の数値は多少のブレが生じることがあります。

また、分析機関によっては必要な数値を分析してくれないところもありますので、以下の項目についてきちんと分析してくれる機関を選択しましょう。
| CEC(塩基置換容量) |
中学の化学の授業を思い出してください。カリウムやマグネシウムはマイナスイオンを持っていました。肥料分であるマグネシウム・カリウムも同じです。肥料分は土の持っているマイナスイオンに吸着し、土壌に保持されるのです。 CECとは、この土が持っている「プラスイオンを吸着できる最大量」のことを指します。わかりやすく言うと、土が肥料をためておける大きさの数値と考えるといいでしょう。数値が大きいほど、肥料を保持する能力がある土と言えます。露地栽培ではCEC20以上、施設栽培では30程度が理想になります。数値が低ければ低いほど保肥力が少なく、保持できる以上の肥料が投入されても流れて無駄になるばかりか、作物に障害を起こすなどのトラブルが起きてしまいます。適正なCEC値を目指しましょう。 |
|---|---|
| PH | 通常Phは5.5〜6.5程度が作物の生育が良いといわれます。なかにはPhの低い土壌・酸性土壌を好むもの(じゃがいも・ブルーベリー等)もあります。それぞれの作物に適したPhになっているかどうかを確認します。 |
| 腐植 | 土壌中の微生物の死骸や分解された植物の組織等々を指します。腐植は団粒構造を作るために必要なもので、数値が5以上であるのが理想です。化学肥料を多投してきて有機物を還元していない畑では極端に低い場合があります。腐植には、団粒構造の形成やCECを上げることなどの効果があります。 |
| EC | 電気伝導度のことをいいます。ECの数値を見て、土壌中の硝酸態窒素の数値を判断するのに使用されます。作物の生育がうまくいかない場合、ECメータで簡易的に測ることで、硝酸態窒素の数値を確認することができます。 |
| アンモニア態窒素 (NH4) |
硝酸化性菌の働きで硝酸態窒素に変化し、作物に吸収される窒素分の一種です。硝酸態窒素に変化する前の形になります。 |
| 硝酸態窒素(NH3) | 窒素分は、アンモニア態窒素から硝酸態窒素へ変わり、作物に吸収されます。土壌分析値のアンモニア態窒素と硝酸態窒素の残留値を見て、次の作の窒素分の計算を行います。硝酸態窒素は水に溶けやすいため、大量にある場合は濃度障害などを起こす可能性があります。 |
| 可給態リン酸 | 土壌中に含まれるリン酸のうち、作物が吸収可能なリン酸分のことを指します。 |
| リン酸吸収係数 | 土壌100gが吸収するリン酸の量。リン酸吸収係数の数値が高いと、作物がリン酸を吸収しにくい土壌であるといえます。 |
| ケイ酸 | ケイ素と酸素が結合した物質で、土の中に60%〜80%含まれています。とくに水稲では必須の成分で、倒伏防止や光合成の働きをよくする等の効果が知られています。ケイ酸の数値を分析してくれる分析機関はあまりありませんが、水田の土壌分析を行う際には、ケイ酸の数値を分析してもらうことが大切です。また昨今では畑作においても病害虫の抑制など、ケイ酸の有用性が述べられています。 |
| 置換性石灰 | 土壌コロイドの表面のマイナス電荷に吸着されているカルシウムのことを言います。一般的に日本の土壌は酸性土壌と言われますが、これは土壌中のカルシウムが雨水等で流されやすいことも原因のひとつと言えるでしょう。カルシウムとカリ・マグネシウムには拮抗作用があるため、カルシウム過剰の場合、カリ・マグネシウム欠乏症を引き起こしやすくなります。 |
| 置換性カリ | 土壌コロイドの表面のマイナス電荷に吸着されているカリのことを言います。カリとマグネシウム・カルシウムには拮抗作用があるため、カリ分が高いとカルシウム及びマグネシウム欠乏症を引き起こしやすくなります。 |
| 置換性マグネシウム | 土壌コロイドの表面のマイナス電荷に吸着されているマグネシウムのことを言います。マグネシウムとカリ・カルシウムには拮抗作用があります。 |
【置換性塩基とは】土壌粒子は、マイナスの電荷を持つ粘土鉱物や腐植物質を含んでいます。塩基は、プラスの電荷を持つので、土壌粒子に吸着・保持されます。吸着・保持されている塩基は、土壌溶液中の水素イオン(プラス電荷を持つ)と置き換わります。これを置換といいます。
置換された塩基は、溶け出して植物が利用できるようになります。このように土壌粒子に吸着・保持されていて、置換されて溶け出すことができる塩基を、置換性塩基といいます。上記の石灰・カリ・苦土のことを指します。
土を分析機関に送ると、数値が送られてきます。ここまでは誰にでもできます。困難なのが、この後の診断。分析機関の診断をあてにしていると、必要のない資材を購入するはめになったり、毎回さまざまな情報に惑わされてしまったりすることがあります。まず、自分自身である程度の診断ができるようになることが、農業への第一歩と考えてください。
CECの数値から、塩基類・窒素分の適正数値を計算することができます。面倒な場合はエクセルなどで計算式を入れてしまい、自動計算できるようにしてしまいましょう。その後、適正な施肥量、入れてはいけないものなどを検証します。春と秋、前作終了後には必ず土壌分析をして、数値を蓄積していきましょう。
| カルシウムの適正値 | CEC×0.6(ハウスの場合は0.8)×5/8×28 |
|---|---|
| マグネシウムの適正値 | CEC×0.6(ハウスの場合は0.8)×2/8×20 |
| カリウムの適正値 | CEC×0.6(ハウスの場合は0.8)×1/8×47 |
| チッソの適正値 | CEC×0.2×14 |
地域の資材活用ということで、堆肥を購入したり自家製堆肥を作る場合は、堆肥の成分分析を行う必要があります。
堆肥に含まれている成分の数値がわからないまま投入すると、濃度障害を起こしたり、不必要な成分が多く入る可能性があります。せっかく土壌分析を行い適正数値を出しても、成分量のわからない堆肥を投入してしまっては意味がありません。

堆肥の分析ができる機関はそう多くはありませんが、科学的な農業を営むために分析は行いましょう。
野菜を栽培するのに必要な多量要素(9成分)のほかに、鉄や亜鉛などの7つの微量要素と呼ばれる成分があります。これらの不足を補う微量要素資材なども販売されています。
しかし基本的な考え方としては、土づくりをきちんと行うことが大切です。物理性や生物性の改善と、土壌分析診断を行い必要量の施肥設計をしていれば、微量要素についてあまり気にする必要はありません。
毎回の食事をバランスよく採っていればサプリメントが必要ないように、まず土づくりを行いましょう。




